火よう日のごちそうはひきがえる
ラッセル・E・エリクソン/作・絵 佐藤涼子/訳
評論社/1988
掃除好きのひきがえるウォートンは、おばさんの家に「かぶと虫のさとうがし」を届けようと、雪の降り積もった中、スキーをはいて出掛けます。そして途中、みみずくにつかまってしまいました。
みみずくはウォートンを、自分の誕生日のご馳走にしようと決めます。誕生日は、今度の火曜日!あと5日しかありません。
食べられると分かりながらも、その日その日を楽しく過ごそうと心を砕くウォートン。みみずくの家を掃除して、夕飯の後はみみずくと一緒にお茶を飲みながらおしゃべりを楽しみます。
みみずくのいない昼間は、セーターの毛糸をほどいてはしごを作り、逃げる準備も進めながらも、「みみずくが気持ちを変えて、ボクを食べるのをやめてくれたらな〜」と願います。
かたやみみずくは、名前もなければ友達も持ったことがありません。みみずくの家の初めての訪問者が、誕生日のご馳走として取ってきたウォートンなのです。
みみずくはウォートンに「ジョージ」と名前をつけてもらい、ウォートンとの食後のお茶とおしゃべりが次第に楽しくて早く帰ってくるようになります。そして月曜日の晩、ジョージはウォートンが作っているはしごを見つけ、それを投げ捨ててしまいます。
お茶も飲まずおしゃべりもせず、火曜日の朝がやってきました……。
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今週金曜日に予定している、子ども劇場で観るのが、この「火よう日のごちそうはひきがえる」です。小学生対象の劇で、ちょっと暗い雰囲気(みみずくの家が舞台ですからね)なので怖がる子もいるかも〜と聞き、先にお話だけ読んでみました。
挿絵は少なく、字は小学校低学年向けくらいの大きさです。
娘はすごく引き込まれて、最初私が読んであげたら、その後は何度も読み返しています。言い回しが分からないところもあるので、そんな時は解説を聞きにきます(笑)。
大人には、ちょっと予測がつきそうなエンディングですが、そこまでの過程も山あり谷あり、一筋縄ではいきません。
読み終えた後、すごく爽快な気分になれます。と同時に、優しい気分にも(笑)。
2007年3月14日記
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2011年7月15日追記
娘は、5年生になった今でも、この本を時折出してきては読んでいます。
友達にも薦めているようで、学校のママ達で集まると、娘からこの本を薦められたのよ〜というママが必ずいます。
大人気シリーズ「あらしのよるに」のように、食べる側食べられる側の心理描写をしている本。いくつになっても、心に訴えるものがあるのでしょうね。